リスク
3 【事業等のリスク】
本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
なお、当社グループはこれらのリスク発生の可能性を認識したうえで、発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針でありますが、記載内容及び将来に関する事項は当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであり、不確実性を内在していること、並びに投資に関連するリスク全てを網羅するものではないことにご留意下さい。
(1) 人材の確保・育成
当社グループは、グローバルな事業展開のため、社内外での積極的な語学研修への参加、経験豊かな中途採用などにより有能な人材の確保・育成に努めておりますが、転職・不慮の事故・休職により、人材の流失、ノウハウの逸失が発生する可能性があります。このような状況が発生した場合には、当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
(2) 新製品開発力・技術力
当社グループは、市場・顧客からの環境対応・軽量化・低価格等のニーズに応えるため、樹脂の循環サイクル実現に向けた取り組みを行うとともに、金属やガラスから樹脂への代替製品の開発を積極的に行い、環境対応、軽量化、低コスト化等に向けて製品開発を実施・提案しております。
例えば、樹脂製テールゲートにおいては、当社の材料開発技術と生産技術を活かした軽量化製品を開発するなど、常に顧客の求める製品を提供するため、世界に誇れる技術開発力を活かし、コスト競争力向上、商品性向上、軽量化・新規アイテム提案等に向け、さらなる製品開発力・技術力の強化に注力しております。
しかしながら、市場・顧客ニーズの変化に対応できず、魅力ある新製品を開発できない場合やタイムリーに提供できない場合、将来の成長と収益性を悪化させ、また投下資金の負担により、当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
(3) 知的財産権
当社グループは、他社製品との差別化のため、製品・製造技術等に関連する特許等の知的財産権を取得しております。また、第三者の知的財産権侵害防止のため、随時特許調査を行っております。
知的財産権による完全な保護が困難であるか、限定的にしか保護されない国または地域で自社特許の製品を生産された場合は、当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
一方、当社グループの製品または製造技術が、将来的に第三者の知的財産権を侵害していると判断される場合は、当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
(4) 製品の欠陥
製品品質については、国際的な品質管理基準であるISO9001をはじめ、当社グループでの開発から生産までの品質保証体系に基づいて日常管理を行っています。しかしながら、当社グループの製品すべてについて欠陥がなく、将来的にリコールが発生しないという保証はありません。欠陥の内容によっては多額の追加コストが発生する可能性があります。
また、製造物責任賠償については保険に加入しておりますが、この保険によりカバーできないリスクもあります。大規模なリコールや製造物責任賠償につながるような製品の欠陥は、多額のコスト負担につながり、当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
(5) 自動車業界の動向及び特有の商慣行
当社グループの製品の需要は、主要得意先であるマツダ株式会社をはじめとする自動車関連メーカーの販売状況の影響を受けます。
自動車関連メーカーの販売状況は製品販売先の国または地域の経済状況の影響を受ける可能性があるため、主要市場(日本、北米、欧州、アジア)における景気動向、金利動向、為替動向等が、当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
また、自動車業界では、部品量産を開始した以降は継続した原価低減活動の実施により、顧客から製品価格の引き下げの要請を受ける商慣行があります。当社グループは計画的な合理化・原価低減活動を実施し、製品価格の引き下げがなされても、収益性が低下しないようコスト管理に取り組んでおりますが、顧客からの要請の内容によっては、当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
(6) 特定の取引先による影響
当社グループの主要な得意先はマツダ株式会社であり、当連結会計年度の売上高に占める割合は50.3%(前連結会計年度52.4%)となっており、得意先の売上高に占める割合が高いため、得意先の自動車生産及び販売動向が、当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
(7) 海外事業展開に伴うリスク
当社グループは、グループの持続的な成長基盤を築くため、東アジア(中国、韓国)、アセアン地域(タイ、インドネシア)、中米・北米(メキシコ、米国)においても事業展開を行っております。
グローバル展開を行う上では、当該進出国での以下に掲げるリスクに直面する可能性があります。
a 予期しない法律または規制の変更
b 人材の採用と確保の難しさ
c ストライキ等の労働争議
d テロ、戦争、その他の要因による社会的混乱
これらリスクを最小限に抑えるため、現地に精通した弁護士、監査法人等からも迅速に情報を入手し、いち早く対策が打てるよう努めておりますが、リスクの顕在化により、材料調達や生産が困難になることや販売の中止等の困難が生じ、当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
(8) 価格競争
自動車業界の価格競争の激化を受け、部品メーカーにおいても他社との競合による価格競争が激化しております。当社グループは、環境への配慮、軽量化、低価格等の市場のニーズに応えながら、技術開発等で付加価値を高め価格維持に努めておりますが、競合先の低販売価格に対して、販売の維持・拡大、収益性の確保ができなくなる可能性があります。この場合、当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
(9) 原材料等の供給不足、原材料費・エネルギー費・物流費等の高騰
当社グループは、原材料及び部品等を多数の取引先から調達し製品を生産しております。安定した調達を行うため、原材料や部品等の市場動向を注視するとともに、取引先の経営状況確認や品質管理を徹底しながら発注を行っておりますが、原材料やエネルギーの供給不安、原油価格の高騰や需要状況の逼迫による、原材料費・エネルギー費・物流費等の高騰、供給元での不慮の事故等による供給の中断等により、安定したコスト・納期で原材料及び部品等を調達できない場合、当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
(10) 気候変動、自然災害、パンデミック、事故
当社グループでは、生産設備の定期的な保守、耐震工事等の災害対策整備等を行っております。
しかし、予期しない自然災害、感染症の流行、不慮の事故等に起因する生産設備の火災・故障、停電等により、生産や納品等に関し、遅延や停止が生じる可能性があります。特に、当社グループの国内工場や仕入先などの取引先の多くは、中国地方に所在しており、この地域で大規模な災害が発生した場合、当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
(11) 情報管理
当社グループでは、情報セキュリティのリスクに対して、セキュリティ対策を講じ、社員に対する啓発活動・教育等のセキュリティ強化に努めておりますが、サイバー攻撃やコンピュータウイルスによる、外部への機密情報漏洩や情報の喪失、情報システム等に障害が生じる可能性があります。このような状況が発生した場合には、当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
また、自然災害等偶然な事由によりネットワーク機能が停止した場合に備え、サーバー機の設置を分散することによりネットワーク機能の停止による復旧対策にも努めておりますが、被害の規模により製品の受注・発注が滞り生産不能に陥る可能性があります。このような状況が発生した場合には、当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
(12) 為替レートの変動
為替レートの変動については、以下の内容等により当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
a 当社グループの取引の内、外貨建て取引分。
b 海外事業の売上高。
c 当社保有の債権の中にある、回収の期間が長期予定の外貨建債権。
(13) 退職給付債務
当社グループの退職給付費用及び債務は、数理計算上設定した退職給付債務の割引率及び年金資産の期待運用収益率といった前提条件に基づいて算出しております。
しかし、実際の結果が前提条件と異なる場合には、将来に亘って当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
(14) 法的規制
当社グループは、日本をはじめ事業を展開する各国において地球環境保護や製品の安全性に関連する規制等、様々な法規制の適用を受けており、当社グループはコンプライアンスを重要な経営課題と認識し、役員、従業員に対してコンプライアンス教育を実施するなど、管理体制の強化に努めております。
しかし、急な法改正・強化がされる場合、新たな規制遵守のために発生する追加費用によって、当社グループの経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
配当政策
3 【配当政策】
当社は持続的な成長を可能とする収益力の強化とグローバル企業としての成長基盤を築き、企業価値の向上に努めてまいります。
株主の皆さまへの利益還元につきましては、経営の重要課題と位置づけており、安定的・継続的な配当を行うことを基本とし、業績、配当性向などを総合的に勘案していきたいと考えております。
当社は、中間配当及び期末配当の年2回の剰余金の配当を行うことを基本としております。これらの剰余金の配当の決定機関は、期末配当については株主総会、中間配当については取締役会であります。なお、当社は9月30日を基準日として中間配当を行うことができる旨を定款に定めております。
当事業年度の期末配当金につきましては、株主の皆さまの日頃のご支援にお応えすべく、上場10周年を記念して1株当たり2円の記念配当を実施することといたしました。従いまして、中間配当15円と合わせた当期の年間配当は、1株当たり32円といたしました。
なお、今後の配当につきましては、2024年5月20日に公表しました「中期経営計画」において、将来の企業価値を高める事業戦略のために必要な内部留保を確保しつつ、連結配当性向30%程度を目安とし、DOE(純資産配当率)2.5%以上を目標に安定的・継続的に実施することを掲げております。
(注)基準日が当事業年度に属する剰余金の配当は、以下のとおりであります。