リスク
3 【事業等のリスク】
当社グループの経営成績及び事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。
(1) 原材料価格の動向
最近の資源価格の動向は、国際的供給体制や国際需要により大きく変動する傾向にあり、一部に世界的供給サイドの寡占化が進むとともに、新興国を中心とした国際的需要拡大等により、国内経済の状況に関係なく変動する可能性があり、ポール・パイル等の主要原材料である鋼材・セメントや原油価格の上昇は、ポール・パイル等の製造コスト及び物流コストを押し上げる要因となります。当社は、これらのコスト上昇に対して、グループをあげてコストダウンに取り組むとともに、得意先等に対して製品価格の適正な改定を要請しておりますが、製品価格の改定時期の遅れ等により、当社グループの収益を圧迫する可能性があります。
(2) 製品需要動向
当社グループの主要製品であるパイル・プレキャスト製品及び工事の売上は、国内建設市場の需要動向に大きく左右されます。急な景気後退による民間設備投資の抑制等で想定以上に需要が落ち込んだ場合には、当社グループの収益を圧迫する可能性があります。当社は、これらの需要動向の変化に対して、コストダウンへの取り組みや設備投資への慎重な検討に加え、景気動向の影響を受けにくい分野を伸ばすこと等によりその適応力を高めていく所存であります。
(3) 金融費用
当社グループは、グループ経営の更なる強化による持続的成長に向けた技術開発及び製品供給体制の整備を進めておりますが、これらの所要資金は、主に金融機関からの借入れにより調達しており、当連結会計年度末における当社グループの有利子負債残高は141億42百万円となっております。今後、金融情勢の変化により金利が上昇した場合には、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、収益力の強化、キャッシュフローの改善により有利子負債の圧縮を図る一方、調達方法の多様化による金利の低減努力を継続する所存であります。なお、当社グループの借入金の大部分は、固定金利であります。
(4) シンジケートローン契約及びコミットメントライン契約
当社は、金融機関2社とシンジケートローン方式のタームローン契約を、金融機関1社とコミットメントライン契約を締結しており、当該契約締結日以降の各決算期及び第2四半期の末日の連結の貸借対照表における純資産の部の金額並びに連結の損益計算書における損益の金額について、それぞれ一定指数以上の維持の財務制限条項が付されており、これらの条項に抵触した場合、借入金の返済義務を負うことがあり、当社の財政状態に影響を及ぼす可能性があります。当社は、前述の取り組みにより収益力を向上させ、これらの条項に抵触しないよう努めております。
(5) 自然災害・感染症等
当社グループは、国内、ミャンマーおよびインドネシアにおいて事務所・工場・施工を展開しており、風水害・地震・津波等の大規模自然災害の発生により、建物・設備や従業員への直接的な被害のほか、通信システムの遮断や生産や物流を中心とするサプライチェーンの停滞により、間接的な被害を受ける可能性があります。また、感染症の蔓延により事業の中断や延期が発生する可能性もあります。このような自然災害や感染症の被害が発生した場合、復旧にかかる費用や中断・延期による損失が発生し、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
自然災害や感染症などのリスクに対しては、迅速に対策本部を設置し、全社的な対応体制を構築することにより、生産・供給・施工等が停滞しないようにいたします。また、風水害等の自然災害リスクを低下させるため、グループ全体のリスクマップを確認し、優先順位の高い項目については、順次対策を講じていく方針としています。
(6) サイバー攻撃
当社グループの事業活動においては、情報システムの利用とその重要性が増大しております。サイバー攻撃やコンピュータウイルスへの感染等による情報セキュリティ事故が発生した場合、当社グループの情報システムの破壊やデータ改ざんだけでなく、当社グループの社会的信用の毀損による経済的損失等により、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社は、「情報セキュリティポリシー」において情報セキュリティ対策の基本方針等を定め、外部からの不正なITネットワークへの侵入によるデータ破壊や、ウイルス感染を予防するためのセキュリティ管理体制の維持・向上を図っております。
なお、誠に遺憾ながら、2023年5月5日、当社のサーバーに対し、第三者からの不正アクセスによるランサムウェア感染被害を受けたことを確認しました。直ちに、警察当局及び関係機関への届出・相談を行うとともに、外部ITセキュリティ専門家の指導・協力を受け、原因及び被害の範囲等の調査を開始し、復旧作業を並行して進め、事業活動の維持と復旧に努めたことで生産・販売等への直接的な影響は軽微でありました。また、復旧の過程において、より堅固なセキュリティ対策を講じることで、情報システム全体の安全性を高めてまいりました。
一方で、当期第1四半期から第3四半期にかけた決算発表の遅延につきましては、みなさまに多大なご心配とご迷惑をおかけしましたこと、深くお詫び申し上げます。遅延解消に取り組んだ結果、本決算の発表より正常化しております。
配当政策
3 【配当政策】
当社は、経営基盤を強化し企業価値向上を図るとともに、株主への利益還元を重要な経営方針のひとつとして位置付けております。
剰余金の配当につきましては、業績の許す限り安定した配当を実施し、適切な還元を行うことを基本としておりますが、一方、研究開発、生産設備の更新等、企業基盤の整備も長期的な株主利益に適うと考えており、適切な内部留保の確保にも努めております。
上記観点から、剰余金の配当は、連結の期間業績を考慮するとともに、収益動向や今後の事業展開および財務体質の維持・強化ならびに配当性向等を総合的に勘案して決定することにしております。なお、第2四半期末の剰余金の配当は、中間期業績および年度業績見通し等を踏まえて判断することとしております。
この配当方針に基づき、当第2四半期末の中間配当として1株につき6円50銭の配当を実施いたしました。当期末の配当につきましては、同方針に従い、当期業績および事業環境を総合的に勘案した結果、1株につき6円50銭とし、期初予想通りの年間13円といたしました。
(注) 基準日が当該事業年度に属する取締役会決議による剰余金の配当は、以下のとおりであります。
(注)1 2023年11月30日の取締役会の決議に基づく配当金の総額には、「役員報酬BIP(信託口)」に対
する配当金873千円及び「株式給付型ESOP(信託口)」に対する配当金692千円を含んでおります。
2 2024年5月24日の取締役会の決議に基づく配当金の総額には、「役員報酬BIP(信託口)」に対
する配当金873千円及び「株式給付型ESOP(信託口)」に対する配当金692千円を含んでおります。