事業内容
セグメント情報
※セグメント情報が得られない場合は、複数セグメントであっても単一セグメントと表記される場合があります
※セグメントの売上や利益は、企業毎にその定義が異なる場合があります
※セグメントの売上や利益は、企業毎にその定義が異なる場合があります
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売上
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利益
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利益率
最新年度
セグメント名 | 売上 (百万円) |
売上構成比率 (%) |
利益 (百万円) |
利益構成比率 (%) |
利益率 (%) |
---|---|---|---|---|---|
CRM事業 | 143,196 | 99.7 | 12,088 | 107.6 | 8.4 |
その他 | 732 | 0.5 | -856 | -7.6 | -116.9 |
調整及び消去 | -321 | -0.2 | - | - | - |
事業内容
3 【事業の内容】
当社グループは、持株会社である当社、連結子会社8社(株式会社ベルシステム24、株式会社スカパー・カスタマーリレーションズ、Horizon One株式会社、BELLSYSTEM24 VIETNAM Inc.、鈴華股份有限公司、株式会社シンカー、株式会社ベル・ソレイユ他1社)及び持分法適用関連会社3社(CTCファーストコンタクト株式会社、株式会社TBネクストコミュニケーションズ、True Touch Co., Ltd.)で構成されており、コンタクトセンター業務を中心とするCRM事業を主たる事業として、全国及び海外で事業を展開しております。
当社グループの中核である株式会社ベルシステム24は、1982年の創業以来約40年にわたり、企業と生活者の接点となるコンタクトセンターを中心とした幅広いアウトソーシング事業を展開し、業界のスタンダードモデルを創出してまいりました。人とテクノロジーの力を掛け合わせることで培ってきた運用知見をもとに、事業価値の向上を目指し、電話を主なサービスチャネルとする従来型のサービス提供方法に加え、新たなソリューションの開発に積極的に取り組む等、グループとしての成長を実現してまいりました。
当社グループの事業における当社及び関係会社の位置づけ及びセグメントとの関連は、以下の通りであります。
当社グループの連結財務諸表における報告セグメントは「CRM事業」のみでありますが、「その他」として、株式会社ベルシステム24の営むコンテンツ事業及び株式会社ベル・ソレイユの営む事業を記載しております。
① CRM事業
CRM事業では、電話を主なコミュニケーションチャネルとする従来型のインバウンド・アウトバウンドコールの業務に加え、WEBや急速に拡大するソーシャルメディア等のIT技術を駆使した様々なサービスを、クライアント企業へ提供しており、具体的には、以下の通りであります。
・クライアント企業のカスタマーサポート業務(主に、クライアント企業の商品・サービスに関する質問に対応する業務)
・クライアント企業のセールスサポート業務(主に、クライアント企業の商品・サービスの販促をサポートする業務)
・クライアント企業のテクニカルサポート業務(主に、クライアント企業のIT製品の操作方法等に関する質問に対応する業務)
・BPO業務(主に、経理・人事分野における業務、市場調査・データ入力作業等を請け負う業務、医薬品・医療機器の開発支援業務)
(主な関係会社)株式会社ベルシステム24、株式会社スカパー・カスタマーリレーションズ、
Horizon One株式会社、BELLSYSTEM24 VIETNAM Inc.、鈴華股份有限公司、株式会社シンカー、
CTCファーストコンタクト株式会社、株式会社TBネクストコミュニケーションズ、
True Touch Co., Ltd.
② その他
株式会社ベルシステム24のコンテンツ事業は、モバイル・PC等を通じ、一般消費者向けの月額課金によるコンテンツ販売や、事業者向けに気象予報コンテンツの販売も行っております。
また、株式会社ベル・ソレイユは、障がい者の雇用促進を目的とする特例子会社として、当社グループの総務業務及び事務代行の受託を主な業務としております。
(主な関係会社)株式会社ベルシステム24、株式会社ベル・ソレイユ
なお当社は、有価証券の取引等の規制に関する内閣府令第49条第2項に規定する特定上場会社等に該当しており、これにより、インサイダー取引規制の重要事実の軽微基準については連結ベースの数値に基づいて判断することとなります。
事業の系統図は、以下の通りであります。
(注) →は、営業取引の流れを示しております。
業績
4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1) 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度における日本経済は、雇用・所得環境の改善や各種施策の効果もあり、個人消費や設備投資の持ち直しが続いていることから緩やかな景気回復の動きが見られました。一方で、欧米における高い金利水準の継続や中国における不動産市場の停滞の継続による海外景気の下振れ、米国の今後の政策動向や中東地域をめぐる情勢等が我が国の物価・経済に影響を及ぼし得るため注意が必要な状況が続いております。また、各企業の業況が回復しているのに伴い業種や規模に関わらず人手不足への対応が課題となっております。
そのような環境の下、当社グループの主力事業であるCRM(Customer Relationship Management)事業においては、生成AI等の新技術を活用し、高い利益率が見込めるソリューションモデルへの変革が重要となっております。こうした市場環境の中、顧客接点多様化に伴う対応領域の拡大とデータ活用により、業務品質や付加価値の向上に努めるとともに、新たな事業領域の開拓を推進しております。
当連結会計年度においては、中期経営計画で掲げた「人材(総力4万人の最大活躍)」「型化(データ活用の高度化)」「共創(NEW BPOの領域開拓)」の3つの重点施策を加速させることで、持続的な成長の実現を目指してまいりました。
型化(データ活用の高度化)においては、当社が1,300社以上の顧客のコンタクトセンターや営業代行、事務処理等のBPOサービスを手掛ける中で蓄積したナレッジやフレームワークを応用した、業務プロセスの変革を企画・実行するサービス「BPRコンサルティング」の本格的な提供を開始いたしました。100名以上のBPRコンサルタントによる複合的なアプローチにより、実現性が高い業務改革を行い、既に業務工数の削減によるコア業務時間の増加、業務のデジタル化といった成果を上げています。さらに、当社は生成AI活用の基となるナレッジのデータ化に悩むクライアント企業向けに、生成AI導入の基盤構築に向けた「ナレッジCXデザインサービス」の提供を開始いたしました。コンタクトセンターに蓄積する応対履歴、マニュアル、FAQのほか、オペレーターの個人メモや暗黙知等、点在する生成AI活用に必要不可欠な非構造化データを集約し、生成AIが理解しやすい検索可能なテキストデータとしてナレッジ化する仕組みをデザインします。コンタクトセンターにおけるリアルタイムでのナレッジ運用やその定着化を実現する実践プロセスである「KCS(ナレッジ・センター・サービス)」に準拠した運用設計と、当社の専任コンサルタントによる独自メソッドを組み合わせ、コンサルティングからナレッジマネジメントシステム導入、運用設計、運用体制構築まで一気通貫で支援することで、CX向上への貢献を目指します。
また、厚生労働省が企業に対策を義務化する方針を公表したカスタマーハラスメント(以下、「カスハラ」)対策への対応に備え、クライアント企業に最適かつ具体的なカスハラ対策をトータルで支援する「カスタマーハラスメント対策サービス」の提供を開始いたしました。カスハラ対策のベースとなる方針・マニュアルの策定から、従業員向けのカスハラ研修の実施、カスハラ対策を強化する音声認識・感情解析やSNS監視等のソリューションの提供まで、対策の段階ごとに7つのサービスメニューを設定することで、コンタクトセンターでのカスハラ対策に特化した支援サービスを一気通貫で提供しており、既に多くのクライアント企業に導入いただいております。
共創(NEW BPOの領域開拓)においては、今後の労働人口減少による人材不足や、個社における生成AI等の投資が難しい内製のコンタクトセンターにおいて、コスト削減と効率化を目的としたアウトソースや提携等といったニーズの拡大が予想されるなか、生成AI等新たな技術の活用を強力に推進し、生成AIとヒトのハイブリッド型コンタクトセンター事業を早期に実現することを目指し、スカパーJSAT株式会社(以下、「スカパーJSAT㈱」)の100%子会社で高品質なカスタマーセンター運営等を提供する株式会社スカパー・カスタマーリレーションズ(以下、「㈱スカパー・カスタマーリレーションズ」)の株式51%を取得し子会社化いたしました。
また、コンタクトセンターでの生成AI活用に向けて、参画企業間での事例共有等を行うユーザー企業参画型プログラムとなる、生成AI Co-Creation Lab.(コ・クリエーションラボ)を開始いたしました。本プログラムでは、コンタクトセンターの幅広い運用知見を持つ当社と、AIのシステムインテグレーションの実績を持つ伊藤忠テクノソリューションズ株式会社に加え、生成AI開発の最前線を担う日本マイクロソフト株式会社、Google Cloud及びアマゾンウェブサービスジャパン合同会社や、データマーケティング領域の支援を行う当社子会社の株式会社シンカー、自然言語処理領域の支援を行うベクスト株式会社等の各社が持つAI技術や専門知見を活用し、生成AI Co-Creation Lab.がハブとなって解決すべき課題とテクノロジーを結び、生成AIを活用した先進事例を創出しております。
さらに、2024年11月には本プログラムにおいて生成AIを活用してコンタクトセンターの自動化を実現する「Hybrid Operation Loop」の提供に向けた開発を開始いたしました。これは、日本マイクロソフト株式会社をはじめとするテクノロジー企業が有する最新技術と、当社が有する多様なコンタクトセンターのノウハウを組み合わせ、AIとヒトが共同でタスクを遂行する"Human-in-the-Loop"(人間参加型の機械学習)の概念を通じた、当社独自のAIとヒトのハイブリッドによる業務ループプロセスを設計することで、様々な業界の個別の環境に対応が可能なコンタクトセンターの自動化を実現するための取り組みであります。
人材(総力4万人の最大活躍)においては、全社目標である「男性育児休暇取得率100%」達成に向けて男性育児休暇経験者からの体験談やアドバイスを伝える社内向け座談会の開催、働く女性の健康課題に関する学びの機会の提供と理解促進を目的に婦人科医師によるオンラインウェビナーや障がい者雇用推進のヒントを学ぶセミナーを実施いたしました。さらに、LGBTQ+(LGBTQ等の性的少数者)に対する差別や偏見に反対し、セクシュアリティやジェンダーの多様性を祝う「レインボーパレード」への経営層と社員の参加や、障がいのある社員による神谷町本社でのLED菜園の運営等、社員一人ひとりが自分らしく働ける職場の実現のため、様々な取り組みを行っており、結果としてD&Iに関する研修・コンサルティング、ダイバーシティ採用支援等を手がける株式会社JobRainbowが実施する「D&Iアワード」において、最高評価である「BEST WORKPLACE」に4年連続で認定されました。
また、一般財団法人日本次世代企業普及機構が展開する2024年度のホワイト企業認定制度(以下、「本制度」)において、「GOLD」ランクを獲得しました。本制度は、企業のホワイト化で取り組むべき70の設問に対し、総合的かつ客観的に評価する国内唯一の認定制度であり、70の設問を7つの指標(ビジネスモデル/生産性、ダイバーシティ&インクルージョン、柔軟な働き方、健康経営、人材育成/働きがい、リスクマネジメント、労働法遵守)に区分し、総合的に判断・評価します。当社グループは、企業の持続的な成長・発展のためには、「多様な社員一人ひとりが能力を最大限発揮することが企業価値の継続的な向上につながる」という考えに基づき、全ての社員が安心して職務に集中できる環境の整備を進めており、本制度では、「人材育成/働きがい」をはじめ、「柔軟な働き方」「ダイバーシティ&インクルージョン」の領域を特に高く評価され、GOLDランク認定となりました。さらに、現場と人事部門が連携し、人材育成や働き方に関する方針や施策の立案、社員教育やウェルビーイング推進、働き方改革等、様々な取り組みを推進していることから、経営戦略と人的資本戦略を連動させ、多様な人材の活躍に向け人事施策のPDCAサイクルを確実に実行している点が評価され、人的資本経営と開示に関する日本最大規模の「人的資本調査2024」において、「人的資本経営品質(シルバー)」に2年連続で認定されました。
その他、ESG(環境・社会・ガバナンス)に関する取り組みとしては、米国の議決権行使助言会社であるインスティテューショナル・シェアホルダー・サービシーズ(ISS)の責任投資部門で、代表的なESG評価機関の一つであるISS ESGによる「ESG コーポレートレーティング(以下、「本指標」)において「プライム」評価に初めて認定されました。本指標は、環境、社会、ガバナンスの観点から企業の取り組みを評価し、各業界内で高い評価を受けた企業を、「プライム」評価に認定するものであり、このたびの認定では、以前より評価を受けていたガバナンスに加え、ESGにおける環境(Environment)や社会(Social)の領域に対する取り組みや情報開示が進んだ点が評価されたと考えております。
各セグメントの業績は以下の通りであります。
(CRM事業)
コロナ等国策関連業務が大幅に縮小したことにより、売上収益は前年同期比で減収となりました。また利益面では販管費の抑制等、収益改善活動を行ったことや、子会社株式の一部売却に伴う利益により税引前利益は前年同期比で増益となりました。
この結果、CRM事業の売上収益は1,431億96百万円(前年同期比3.3%減)、税引前利益は120億88百万円(同10.0%増)となりました。
(その他)
コンテンツ販売収入の減少に伴い、コンテンツ事業に帰属するのれんについて減損テストを実施した結果、10億12百万円の減損損失を計上しております。
この結果、その他のセグメントの売上収益は4億11百万円(前年同期比32.6%減)、税引前損失は8億56百万円(前連結会計年度は、2億40百万円の利益)となりました。
以上の結果、当連結会計年度の業績は、売上収益は1,436億7百万円(前年同期比3.4%減)、税引前利益は112億32百万円(同0.1%増)、親会社の所有者に帰属する当期利益は80億3百万円(同6.1%増)となりました。
(2) キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末現在における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ2億21百万円減少し、69億92百万円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は以下の通りであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は、173億91百万円となりました(前年同期は135億87百万円の収入)。これは主に、税引前利益が112億32百万円、減価償却費及び償却費が95億56百万円、子会社の支配喪失に伴う利益が35億39百万円、法人所得税の支払額が24億円、減損損失が15億67百万円及び未払消費税等の増加額が9億72百万円、それぞれ生じたこと等によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は、36億93百万円となりました(前年同期は30億97百万円の支出)。これは主に、有形固定資産の取得による支出が11億47百万円、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の売却による支出が7億80百万円、有価証券の取得による支出が7億円及び無形資産の取得による支出が5億31百万円それぞれ生じたこと等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は、138億97百万円となりました(前年同期は102億86百万円の支出)。これは主に、長期借入れによる収入が50億円、短期借入金の増加が16億25百万円、長期借入金の返済による支出が90億円、リース負債の返済による支出が69億11百万円及び配当金の支払額が46億44百万円それぞれ生じたこと等によるものであります。
(生産、受注及び販売の状況)
(1) 生産の実績
当社グループは生産活動を行っていないため、該当事項はありません。
(2) 受注の実績
当社グループが顧客企業と締結している契約は、料金算定の基礎となる単価等であり、受注金額の算定に必要な座席数、時間等についてはコール予想等に応じて頻繁に変動いたします。従って、受注金額の特定が極めて困難な状況であるため、同数値の記載を省略しております。
(3) 販売の実績
当連結会計年度における販売の実績をセグメント毎に示すと以下の通りであります。
(注) 1.セグメント間取引については、相殺消去しております。
2.上記金額には消費税等は含まれておりません。
(経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容)
文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
(1)重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、国際会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成に当たっては、決算日における財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を与えるような経営者の見積り及び予測を必要としております。当社は、過去の実績値や状況を踏まえ合理的と判断される前提に基づき、見積り及び予測を行っておりますが、前提条件やその後の環境等に変化がある場合には、実際の結果がこれら見積りと異なる可能性があります。
連結財務諸表の作成にあたり採用した重要な会計方針、重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 連結財務諸表注記 3 重要性がある会計方針及び4 重要な会計上の見積り及び仮定」に記載しております。
(2)経営成績の分析
① 売上収益
当連結会計年度の売上収益は、主力事業であるCRM事業において、コロナ等国策関連業務が大幅に縮小したことにより、前連結会計年度に比べて51億10百万円減少(前年同期比3.4%減)し、1,436億7百万円となりました。
② 売上総利益
当連結会計年度の売上総利益は、収益改善活動による効果等もありましたが、高収益のコロナ等国策関連業務が大幅に縮小し、前連結会計年度に比べて17億27百万円減少(前連結会計年度比6.4%減)し、254億12百万円となりました。
③ 販売費及び一般管理費
当連結会計年度の販売費及び一般管理費は、主に人件費等が減少したことにより、前連結会計年度に比べて4億16百万円減少(前連結会計年度比2.5%減)し、161億82百万円となりました。
④ その他の収益及び費用
当連結会計年度のその他の収益及び費用の純額は、減損損失1,567百万円を計上したものの、子会社株式の一部売却に伴う利益37億60百万円の計上により23億57百万円の収益(前連結会計年度は9億38百万円の収益)となりました。
⑤ 営業利益
当連結会計年度の営業利益は、主に子会社株式の一部売却に伴う利益37億60百万円をその他の収益にて計上したことにより、前連結会計年度に比べて1億8百万円増加(前連結会計年度比0.9%増)し、115億87百万円となりました。
⑥ 金融収益及び費用、持分法による投資損益
当連結会計年度の金融収益及び費用、持分法による投資損益の純額は、3億55百万円の費用(前連結会計年度は2億54百万円の費用)となりました。
⑦ 税引前利益
当連結会計年度の税引前利益は、営業利益の増加等により、前連結会計年度に比べて7百万円増加(前連結会計年度比0.1%増)し、112億32百万円となりました。
⑧ 親会社の所有者に帰属する当期利益
当連結会計年度の親会社の所有者に帰属する当期利益は、税引前利益の増加及び法人所得税費用の減少により、前連結会計年度に比べて4億58百万円増加(前連結会計年度比6.1%増)し、80億3百万円となりました。
(3)財政状態の分析
① 資産の分析
流動資産は、主に現金及び現金同等物が2億21百万円減少したため、前連結会計年度末より2億55百万円減少し、280億42百万円となりました。
非流動資産は、主に持分法で会計処理されている投資が48億70百万円増加しましたが、有形固定資産が42億65百万円及びのれんが21億21百万円減少したため、前連結会計年度末より7億98百万円減少し、1,463億71百万円となりました。
これらにより、資産合計は前連結会計年度末より10億52百万円減少し、1,744億13百万円となりました。
② 負債の分析
流動負債は、主に借入金が77億99百万円、未払法人所得税が8億67百万円及びその他の流動負債が6億62百万円がそれぞれ増加したため、前連結会計年度末より88億14百万円増加し、574億13百万円となりました。
非流動負債は、長期借入金が99億87百万円及びその他の長期金融負債が34億17百万円減少したため、前連結会計年度末より129億64百万円減少し、461億63百万円となりました。
これらにより、負債合計は前連結会計年度末より41億51百万円減少し、1,035億76百万円となりました。
③ 資本の分析
資本は、主に資本剰余金が42億32百万円減少しましたが、利益剰余金が80億3百万円増加したため、前連結会計年度末より30億98百万円増加し、708億37百万円となりました。
(4)資本の財源及び資金の流動性に係る情報
資金需要及び資金調達については、当社グループは事業運営に伴う新規拠点の構築及び設備の更新を継続的に実施しております。これらの資金需要は手許資金で賄うことを基本とし、必要に応じて資金調達を実施いたします。
キャッシュ・フローの状況については、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (2)キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。
(5)経営成績に重要な影響を与える要因について
当社グループの主力事業であるCRM事業においては、サービス提供価格の変動と、オペレーター人材の確保及び人件費の変動が、経営成績に重要な影響を与える主要因と認識しております。当社グループを取り巻く事業環境は非常に競争が激しく、昨今の経済状況により、クライアント企業の費用削減傾向が強まる場合には、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。また、当事業における原価の大部分は、主にオペレーターの人件費であるため、人材不足による採用難や賃金上昇によるオペレーションコストの増加は、当社グループの経営成績に影響を与えます。
対応策といたしましては、当社グループが約40年にわたって築き上げてきた実績と経験を活かして他社との差別化を図り、品質向上及び新しいソリューション提供に努めることで業務の効率化及び売上規模の拡大を実現し、併せて、当社グループのブランド価値向上によりオペレーターの確保及び人件費増に対応する適切な価格設定に努めてまいります。また、生成AI等新たな技術の活用を強力に推進し、生成AIとヒトのハイブリッド型CRM事業を早期に実現することで、顧客企業とともに成長できるパートナーへの進化を目指してまいります。
(6)経営戦略の現状と見通し
当社グループが属する派遣売上を加えたコンタクトセンターアウトソーシング市場の総市場規模は1兆円を超え、2023年度以降年平均成長率4%程度で推移すると予測されており、2027年度には1兆2,770億円になると推定されております。(出典:デロイトトーマツミック経済研究所株式会社「BPO総市場の現状と展望2024年度コンタクトセンター&フルフィルメントサービス版(第18版)」)。
そうした中にあり、競合企業は、当該コンタクトセンターアウトソーシング市場に一定のシェアを確保しつつも、SIベンダーとの協業によるシステム販売や成果型レベニューシェア、生成AIの導入・活用による運用コストの改善や会話内容の分析により、企業のマーケティング部門へアプローチすることが予測されます。当社グループは生成AIの活用度合いを高めることにより差別化を図り、生産年齢人口の減少により拡大するアウトソースニーズを取り込み、継続的な成長路線を描いていく方針であります。
当社グループの強みは、国内随一の広範な自社コンタクトセンター拠点をベースにした「規模」、約40年にわたり培った「対話力」、生成AIとヒトのハイブリッドによる「業務設計力」、困難な課題にも一丸となって取り組む「チームワーク」にあります。これまでに培ってきたこうした強みに加え、伊藤忠商事グループ及びTOPPANグループ等、パートナーとの営業、事業開発、及びテクノロジー分野におけるシナジーを創出していくことにより、クライアント企業と同じ目線で経営課題に取り組み、改善提案を実践するパートナーとして、今後さらなる成長を果たしてまいりたいと考えております。
(7)経営者の問題意識と今後の方針について
当社グループの経営陣は、現在の事業環境及び入手可能な情報に基づき最善の経営方針を立案するように努めております。当社グループは、主要ビジネスであるCRM事業を中心に、既存クライアントとの取引拡大及び伊藤忠商事グループやTOPPANグループの多様な企業ネットワークを活用した新規クライアント獲得強化による売上規模拡大、及び人件費増に対応する適切な価格設定の実施、業務の効率化及びコストコントロールの徹底による収益性向上との相乗効果により、収益基盤の拡充策を強力に展開してまいります。
株主に対しては、利益還元を最重要課題の一つとして認識しており、剰余金の配当を安定かつ継続的に実施し、業績の進捗状況に応じて配当性向及び必要な内部留保の充実等を総合的に勘案した上で、中期的には親会社所有者に帰属する当期利益をベースに、連結配当性向50%を目標として、中間配当と期末配当の年2回の剰余金の配当を行うことを基本的な方針としております。
また、従業員に対しては、“プロフェッショナル”が集う、“働きがい”のある企業の実現に向けて、新たな人事制度、人材育成施策の導入を段階的に進める他、女性活躍推進を目的とした育成プログラムの実施、企業内保育所の設置、及び教育研修施設の開設等、より多様な働き方を実現する環境整備の取り組みを続けてまいります。これらに加え、D&Iと健康経営の更なる推進を図り、多様な人材の活躍を促進してまいります。
さらに、生成AI等の新技術を活用した自動化対応への取り組みと人特有のホスピタリティー溢れる価値提供を通じたハイブリッド運用により、クライアントが感動するCXを実現する他、クライアントへの最適なソリューション提供により、クライアント企業の新しいビジネス価値を創造してまいります。
「中期経営計画2025」に掲げた生成AI等の活用による新たな価値の創造、並びに当社グループの強みとパートナー企業の知見・技術を融合した新たな総合BPO領域の開拓を推進し引き続き事業基盤を強化してまいります。
セグメント情報
5.セグメント情報
(1) 報告セグメントの概要及び情報
当社グループの報告セグメントは、当社グループの構成単位のうち、分離された財務情報が入手可能であり、取締役会が、経営資源の配分の決定及び業績を評価するために、定期的に検討を行う事業セグメントを基礎に決定されております。なお、当社グループの事業セグメントは、CRM事業及びその他事業から構成されており、サービスの種類、性質、販売市場等から総合的に区分しております。
当社グループは、主にコンタクトセンター運営及びその付帯業務を取り扱うCRM事業で構成されております。当社グループの収益、純損益の絶対額及び資産の金額のいずれにおいても、大部分が当該事業から構成されております。そのため、報告セグメントはCRM事業のみとしております。
セグメント間の振替価格は、概ね市場実勢価格に基づいて行っております。
前連結会計年度(自 2023年3月1日 至 2024年2月29日)
(単位:百万円)
(※)1.セグメント間収益は連結時に消去され、「調整及び消去」の欄に含まれております。
2.売上収益は、全て顧客との契約から認識した収益であります。
当連結会計年度(自 2024年3月1日 至 2025年2月28日)
(単位:百万円)
(※)1.セグメント間収益は連結時に消去され、「調整及び消去」の欄に含まれております。
2.売上収益は、全て顧客との契約から認識した収益であります。
(2) 地域別に関する情報
① 売上収益
連結損益計算書の売上収益の大部分は、日本国内の顧客への売上収益によるものであり、日本国外の顧客への売上収益は僅少であることから、地域毎の売上収益の記載を省略しております。
② 非流動資産
連結財政状態計算書の非流動資産合計金額の大部分は、日本国内に所在している非流動資産であることから、地域毎の非流動資産の記載を省略しております。
(3) 主要な顧客に関する情報
外部顧客への売上収益のうち、連結損益計算書の売上収益の10%以上を占める相手先がないため、記載を省略しております。