2024年6月期有価証券報告書より

リスク

3【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。当社グループは、これらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努める所存です。

(1)店舗拡大と人材確保

 店舗網については、主要基盤である首都圏から全国エリアへ展開を推進し、さらに事業領域の拡大などを目的とした子会社が増加する過程で、当社グループは、人材紹介会社の利用や新卒採用における履歴書の撤廃など、独自の採用活動を行い人材の確保に努めておりますが、必要人員の確保や育成ができなければ、サービスの質が低下し、業績が低迷する可能性があります。

(2)輸入及び物流・配送

 事業規模の拡大に伴って商品の輸入割合が増加しており、輸出国の政治情勢・経済環境などの影響を受ける可能性があります。また、商品の物流・配送は、外部業者に委託しており、当該業者の経営状態などの影響を受けて、物流・配送が滞る可能性があります。なお、物流・配送業者については複数の業者に委託することによりリスクの軽減を図っております。

(3)マーケティング

 商品の需要については、迅速かつ適切に把握し、その情報に基づき、いかにお客さまのニーズに合った品揃えができるかによって、業績は大きな影響を受けます。当社グループは、従業員研修の定期開催や、動画研修などを行い、従業員の育成を行っておりますが、マーケティングを適切に行うスタッフの確保・育成、そして組織的管理体制の継続ができなければ、業績が低迷する可能性があります。

(4)法律による規制

 店舗の出店においては、大規模小売店舗立地法、商品の販売においては、景品表示法及び食品衛生法、商品の仕入れにおいては、独占禁止法や下請法、その他環境に関するリサイクル関連法などの様々な法的規制を受けておりますが、法令の改正や解釈の厳格化により、経営コストが増加し、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

(5)個人情報保護法

顧客情報保護については、社内規程を定め、専門部署の設置を行い、細心の注意を図っておりますが、万一、外部漏洩事件が発生した場合は、社会的信用問題や個人への賠償問題など、業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。

(6)固定資産の減損

当社グループは、保有資産の将来キャッシュ・フローなどを算定し、減損損失の認識及び測定を実施した結果、固定資産の減損損失を計上することも予測され、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

(7)M&Aによる事業拡大について

 当社グループは、業容の拡大を図る手段として過去、M&Aを実施してまいりました。対象企業については、国内外を問わず、当該企業の財務内容や契約関係などについて、詳細なデューディリジェンス(投資案件評価)を行うことによって、極力リスクを回避するよう努めております。しかしながら、M&Aを行った後に、偶発債務の発生や未認識債務が判明する場合などが考えられます。この場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

(8)店舗閉鎖損失

 当社グループは、積極的な新規出店を進める一方で、不採算店舗の撤退を行う可能性があります。出店した店舗が当初の計画通りの収益を計上できず、経営努力による売上の拡大や販売費及び一般管理費の削減に努めても、業績の回復が図れない場合は、撤退する方針としております。この場合、店舗撤退に伴う損失が、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

(9)為替リスク

 当社グループは、商品の一部を海外から直接輸入しており、間接的な輸入を含めると、販売している商品の中には輸入商品が多く含まれております。一般的に円高になれば、実質的な仕入価格は下がる傾向になり、円安になれば上がる傾向にあるため、売上総利益率の変動を受けるリスクがあります。当社グループは、場合により為替予約を行い、為替リスクを回避する対策を講じておりますが、当該為替リスクを完全に回避できる保証はなく、為替相場などの変動による一般的な市場リスクを有しております。

 

(10)自然災害

 大規模地震や台風などの自然災害が発生した場合、店舗設備などの復旧費用や営業休止期間の発生、商品の物流・配送などに支障が出る可能性があり、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。なお、自然災害が発生した場合は、防災対策本部を設置し、被害を最小限に抑えるよう体制を整えております。

(11)在庫リスク

 当社グループは、積極的な店舗出店を行っていることから、全社的に商品在庫が増加する傾向にあります。商品在庫については、POSシステム及び基幹ITシステムにより、商品の販売動向や在庫数量をリアルタイムに管理することにより、在庫リスクを軽減するよう努めております。しかしながら、消費者需要の変化、異常気象及び季節性による需要の偏りといった不可避的な要因などにより、滞留在庫が発生する可能性があり、在庫処分や商品評価損計上により、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

(12)気候変動への対応

当社グループは、店舗運営におけるエネルギー使用量が多いことから、気候変動に関わる法規制が大幅に強化される等、社会的要請が急激に高まった場合には、想定以上のエネルギー費用や対策コストがかかるリスクがあります。これらのリスクは、TCFD提言に沿ったシナリオ分析により特定し情報開示を行うとともに、「PPIHグループ 脱炭素目標」を定め、店舗運営の省エネ化、太陽光パネル等店舗施設を活用した再生可能エネルギーの創出、非化石証書取引等の再生可能エネルギーへの置き換えを進め、リスクを最小限に抑えるよう対策を講じていきます。

(13)感染症リスク

国内外において重大な感染症が流行した場合、店舗の休業や営業時間の短縮、訪日観光客の減少に伴う来店者数の減少等により、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。なお、当社グループにおいては、お客さまや従業員の安全を最優先とし、感染防止の対策を行います。また、消費者志向の変化に迅速に対応することにより、当該リスクを最小限に抑えるよう柔軟に対応致します。

(14)情報セキュリティリスク

当社グループは、システムサーバー及びネットワークシステムの障害やサイバー攻撃、ウイルスの侵入や不正アクセス等のリスクに備え、情報セキュリティに関する規程を定めるとともに、バックアップ体制の整備、データセンターの活用、セキュリティシステムの導入、従業員へのシステム使用における定期的な教育を行い対策に努めております。しかしながら、不測の事態が発生し、システム停止等が長期間発生した場合は、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

※ これらのほかに訴訟などの法的手続きの対象となるリスクや法令・規制などの改正など潜在的にさまざまなリスクが存在しており、上記に記載されたものが当社グループのすべてのリスクではありません。

 

配当政策

3【配当政策】

 当社グループは、株主に対する利益還元を経営の最重要課題のひとつとして認識しております。

 すなわち、積極的な事業展開のもと、経営基盤の強化、さらに事業改革及び財務体質の強化を図ることにより、企業価値を高め、株主及び投資家の期待に応えていきながら、持続的な成長にあわせた株主の皆様への安定的な利益還元を行ってまいりたいと考えております。

当社は、中間配当・期末配当の年2回、剰余金の配当を行うことを基本方針としております。
 これらの剰余金の配当の決定機関は、期末配当については株主総会、中間配当については取締役会であります。

当期の配当につきましては、上記方針に基づき普通配当21円(中間配当5円、期末配当16円)に、連結売上高2兆円達成による記念配当9円を加えた1株当たり30円の配当を実施することを決定しました。この結果、連結配当性向は、20.2%となりました。また、内部留保資金は、設備資金として再投資させていただき、企業価値の一層の向上と経営体質の強化充実に努める所存であります。

当社は、株主への機動的な利益還元を行うため、会社法第454条第5項の規定により、取締役会の決議によって毎年12月31日を基準日として、中間配当を行うことができる旨定款に定めております。

なお、当事業年度に係る剰余金の配当は以下のとおりであります。

決議年月日

配当金の総額

(百万円)

1株当たり配当額

(円)

2024年2月13日

2,984

5.00

取締役会決議

2024年9月27日

14,924

25.00

定時株主総会決議