リスク
3 【事業等のリスク】
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
(1) 当社グループのリスク管理体制について
当社グループは当社グループ内で発生しうるさまざまなリスクに対し、発生防止と適切なリスク対応を行うため、2008年に「リスク管理規程」を定め、管理体制を整備しております。リスク管理体制の核となるリスク管理委員会では、当社グループに影響を及ぼすリスクの特定と評価を定期的に実施し、リスク対応状況を管理しております。
また、重大インシデント発生時には、社長執行役員を委員長とする災害(事故)対策委員会を招集し、初期対応を円滑に進めグループ経営に及ぼす影響を最小限にとどめる体制を整えております。
なお、「大地震」「重要施設火災」「感染症パンデミック」「大規模なITシステム障害及びデータ漏洩」を主な対象としてBCP(事業継続計画)の構築も行っておりますが、これらの実効性を高めるため、当社は2017年、国内でチェーン展開している大手小売業及びインターネット販売業界で初めて事業継続マネジメントシステムの国際規格「ISO22301」認証を取得しました。大地震、豪雨などの甚大な自然災害やサイバーリスクなどの脅威が高まる昨今、当社グループは早期の事業復旧や事業継続を確保するなどにより、ステークホルダーに対する社会的責任を果たしてまいります。
(2) リスクの特定・評価について
リスクを特定・評価するに際し、日々変化する外部環境、当社グループの事業特性と事業戦略を考慮し、多角的かつ多面的なリスクの把握に努めております。事業を取り巻く事象を4つのカテゴリー(①事故・災害リスク、②業務リスク、③財務リスク、④経営リスク)に分類し、リスクの特定と評価を行います。リスクが顕在化した際には、物的損害、人的損害に加え、当社グループの社会的信用の低下を招き、財政状態及び経営成績等に影響が及ぶ可能性があります。
以下の記載においては、家電製品等の小売業並びにこれらの付帯業務を事業とする当社グループ経営全体への影響度と発生可能性を想定した主要なリスクを記載しております。
① 事故・災害リスク
自然災害・事故等について
自然災害及び火災・事故等が発生した場合は、当社グループの財政状態及び経営成績等に影響が及ぶ可能性があります。また、当社グループに限らず、取引先の被災等により通常の商品供給が困難となった場合にも、当社グループの財政状態及び経営成績等に影響が及ぶ可能性があります。
当社グループといたしましては、災害発生に備え予め準備をしておく内容をまとめた「災害対策マニュアル」、災害発生時の対応についてまとめた「災害発生時対応マニュアル」等を策定しており、全従業員に対し定期的に理解度の確認を行い、訓練を行っております。また、当社グループにおける事業継続を著しく脅かす事象が発生した場合の対応基本方針として「事業継続計画書」を策定しており、災害等からの早期復旧を目指す体制を整えております。
令和6年能登半島地震においては、地震発生後直ちに従業員とその家族の安否確認、常設されている災害情報掲示板等による各拠点の被害情報の収集や取引先の被害状況の確認に努めました。上記の体制が機能したことにより、大きく被災した店舗においても早期に復旧することができました。
サイバーリスクについて
昨今、日本企業が国内外からのサイバー攻撃を受ける事例が増加しており、当社グループでも情報セキュリティのさらなる強化は急務となっております。サイバー攻撃等によるシステムの破壊や停止、そして不正アクセス犯罪等による個人情報や機密情報の漏洩が発生した場合、システムの停止と復旧に時間を要することにより広範な業務に支障をきたすことを余儀なくされ、さらに当社グループの社会的信用の低下を招き、財政状態及び経営成績等に影響が及ぶ可能性があります。
当社グループといたしましては、ファイアウォールなどによる社内ネットワーク環境内のデータ流出などを防止する境界型セキュリティだけでは、多様化するサイバー攻撃を完全に防御することに限界があると認識しており、さらなる対応策として、「ゼロトラスト」の視点で社内外を問わず常に通信相手を認証する視点に立ったサイバーリスクマネジメント体制を構築しております。リモート環境、社内環境を問わず、すべての業務端末やサーバをEDR/MDRにより常時監視し、不正プログラムなどの侵入を即時に検知、該当端末の隔離を行うなど脅威からの排除を行う仕組みを稼働させております。さらに情報セキュリティに関して、全従業員に対し定期的に理解度の確認を行い、訓練を行っております。
この体制により、当社グループにおける業務の効率性と安全性の両方を担保しつつ、多様な働き方の推進やデジタルトランスフォーメーション推進を確実に行ってまいります。
新型コロナウイルス感染症等、疫病の蔓延について
新型コロナウイルス感染症の感染拡大時においては、緊急事態宣言の発令に伴い、当社グループにおいても店舗休業や営業時間の短縮等を余儀なくされ、また、従業員の働き方についても、平時からの抜本的な見直しが必要となりました。経済活動の停滞や長期間に渡る人やモノの流れの分断等、将来に渡り、消費者の価値観や消費行動を変容させております。今後、同等またはそれ以上の悪影響を及ぼす疫病等が蔓延した場合、当社グループの財政状態及び経営成績等に影響が及ぶ可能性があります。
当社グループの事業活動において主に取り扱う家電製品は、生活必需品であり社会インフラの一端を担うものであると考えております。新型コロナウイルス感染症の感染拡大時において、各行政機関の指針に従った感染防止策の徹底や、各自治体の自粛要請に沿った営業時間の変更、デジタル販促の推進、正月休業や初売りの前倒し等、密を回避する店舗運営を実施することにより、お客様及び従業員の安全を考慮しつつ影響を最小限に抑えた経験を活かし、今後新たな疫病等が発生した場合にも適切に対処してまいります。
② 業務リスク
顧客情報の管理について
当社グループは、販売戦略としてポイントカードを発行し大量の顧客情報を取り扱っております。しかしながら、今後、犯罪行為等による顧客情報の流出により問題が発生した場合には、その後の事業展開において、当社グループの社会的信用の低下を招き、財政状態及び経営成績等に影響が及ぶ可能性があります。
当社グループといたしましては、2005年4月全面施行の個人情報保護法に対処すべく、個人情報保護方針、個人情報管理基準等の策定や推進体制の整備を行っております。具体的には、保有する総ての情報及び情報システムに対し、物理的セキュリティ対策、人的セキュリティ対策、技術的セキュリティ対策及び運用的セキュリティ対策からなる総合的な情報セキュリティ対策を実施し、これらの情報セキュリティ確保に向けた取り組みを継続的に実施していくためにセキュリティポリシーを定め、各組織や各人の役割・責任が明確化された情報セキュリティマネジメントシステムを構築し運用する「ジョーシングループ情報セキュリティ基本方針」を策定しており、コンプライアンスの推進を目的に設置された「CSR推進室(現・リスクマネジメント部)」により、全従業員に対し定期的に理解度の確認を行っております。
このような取り組みが認められ、2005年4月25日付で家電量販事業者として初の「プライバシーマーク」の付与・認定を財団法人日本情報処理開発協会(現・一般財団法人日本情報経済社会推進協会)より受け、2005年5月13日より同マークの使用を開始しております。
万一顧客情報の流出が発生した場合には、その内容・対処案がコンプライアンス統括責任者を通じてトップマネジメント、取締役会、執行役員会、監査役に報告され、迅速な対応を可能とする体制を構築しております。
労務管理・安全衛生管理について
当社グループは、関連法案を遵守し適切な労務管理や安全衛生管理を実施しております。しかしながら、従業員だけでなく他の店舗スタッフも含め、実務の中で適切な管理が実施されなかった場合、労働基準法違反や安全衛生管理上の問題が生じるほか、店舗での営業継続の困難、その他訴訟リスクも含め、当社グループの社会的信用の低下を招き、財政状態及び経営成績等に影響が及ぶ可能性があります。
当社グループといたしましては、2004年に制定した「ジョーシングループ行動規範」において、個性と人権を尊重しあうこと、性別・出生地・人種・学歴・信条・宗教・心身障がいの有無などによる差別を行わないこと、ハラスメント問題には厳正に対処することなどを明記し、さらに2019年には経営トップの「ハラスメント撲滅宣言」の発出により、セクシュアルハラスメント、パワーハラスメント、マタニティハラスメント防止に向けた研修を継続的に実施し、従業員の意識啓発を図り、さらにはストレスチェックによる職場ごとのストレス度の定点観測及び継続的改善等を行うメンタルヘルスケアを行っております。
また、労使一体となった総労働時間抑制の取り組み、35歳以上の正社員を対象とする人間ドックの受診義務化、生活習慣病の予防を目的とする特定保健指導の推進、産業医による職場巡回・健康相談・面接指導等、従業員の健康管理を経営的な視点で考え戦略的に実践する「健康経営」の取り組みが優良であると認められたことから、2020年度より5年連続で「健康経営優良法人」に認定されております。
特有の取引慣行(受取リベート)について
当社グループで販売している商品については、各仕入先との契約により仕入金額や販売実績に対して受取リベートを収受しているものがあります。今後仕入金額や販売実績の減少、取引条件の変更が生じた場合等には、当社グループの財政状態及び経営成績等に影響が及ぶ可能性があります。
当社グループといたしましては、各仕入先と良好な関係を築き、安定した仕入の量を確保し販売実績を残すため、新製品の販売への注力等、様々な販売施策を各仕入先の協力の下企画実践しております。
商品の安全性について
創業以来、当社グループは「商品をご購入いただいたお客さまに最後まで安心してご使用いただくことが小売業の務め」という考えのもと、一貫して安全安心な製品及びサービスの提供を重要課題として事業を展開しております。
しかしながら当社グループの提供する商品において、構造上の問題点や危険物の混入、また誤使用等により、商品の品質に重大な瑕疵や不備その他予期せぬ重大なトラブルが発生した場合には、当社グループの社会的信用の低下を招き、財政状態及び経営成績等に影響が及ぶ可能性があります。
当社グループといたしましては、「ジョーシングループ製品安全自主行動指針」を策定し、万一製品事故等(欠陥、不具合、類似製品の事故)が発生した場合、お客様、製造事業者、輸入事業者、修理・設置事業者等から積極的に情報を収集し社内共有するとともに、速やかに情報をお客様、製造事業者、輸入事業者、修理・設置事業者等に提供できる体制を整えております。これにより、被害の拡大を防ぎ、事故再発の防止、原因究明に貢献いたします。また、必要があれば自主的に行政等の関連機関にも報告するなど、製造事業者、輸入事業者による迅速かつ的確なリコール(製品回収)等が行われるよう積極的に協力し、お客様の安全確保を最優先に行動いたします。
このような取り組みが認められ、経済産業省が「製品安全に積極的に取り組んでいる事業者」を企業単位で広く公募し、厳正な審査の上で表彰する「製品安全対策優良企業表彰」の大企業小売販売事業者部門において、制度初の3連続「経済産業大臣賞」を受賞し(2008年度・2010年度・2012年度。応募規定により受賞翌年度の応募資格なし)、2014年6月、経済産業大臣賞(あるいは金賞)3回以上の受賞企業を対象に創設された「製品安全対策ゴールド企業マーク」を初めて授与され、同制度上初の「製品安全対策ゴールド企業」に認定されております。さらに同認定後も、従来の取り組みを維持しつつ、より高いレベルでの製品安全実現に向けた活動を積極的に行っていることが高く評価され、審査委員会によって行われたフォローアップ(製品安全対策ゴールド企業認定から5年経過ごとに行われる、認定時の取り組みが引き続き維持されているかの確認)により、制度上初めて認定マークに「★」マークが追加されました。
今後も製品安全対策ゴールド企業のトップランナーとして、製品安全への積極的な取り組みを継続することで社会全体の製品安全文化の定着に貢献してまいります。
商品の据付工事・配送設置について
当社グループは主に家電製品を取り扱っており、その性質上、お客様のご自宅を直接訪問し、据付工事や配送設置等を行うことが多々あります。その際に、誤って壁面や床面等ご自宅の設備を破損した場合等において、お客様に多大なご迷惑をおかけすることとなり、さらには当社グループの社会的信用の低下を招き、財政状態及び経営成績等に影響が及ぶ可能性があります。
当社グループといたしましては、配送設置については、物品搬入訓練用家屋構造の独自性が認められ、2012年4月に特許を取得いたしました配送設置技術の習得を目的とする「トレーニングハウス」を当社グループ技術研修センター内に開設し、配送設置を受け持つ従業員を対象に実務研修を行っております。また、多くの据付工事を外部業者に委託しておりますため、新製品技術説明会等で据付工事に伴う事故防止と個人情報保護法の知識、取り扱いルールなどについての研修を実施しております。さらに、新製品への対応力を高めるための技術研修も定期的に行っております。また、お客様に対するCSR活動の最重要課題として、当社グループのCS(顧客満足)マインドと具体的な取り組みの理解のために「CS研修」も行っております。
法的規制等について
当社グループは、「大規模小売店舗立地法」、「私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律」に基づく「大規模小売業者による納入業者との取引における特定の不公正な取引方法」による規制、「不当景品類及び不当表示防止法」、「下請代金支払遅延等防止法」、「特定家庭用機器再商品化法」、「古物営業法」等、様々な法的規制を受ける事業を行っております。新たな法令の制定や規制の強化、規制当局による措置その他の法的手続きが行われた場合には、当社グループの業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。また、法令遵守に努めておりますが、万一、これらに違反する事由が生じ、事業活動が制限された場合、当社グループの社会的信用の低下を招き、財政状態及び経営成績等に影響が及ぶ可能性があります。
当社グループといたしましては、各法に従って適切に業務を遂行するため、コンプライアンス全体を統括する組織である「サステナビリティ委員会」の設置や社内マニュアル「ジョーシングループ行動規範」の整備、定期的な社員教育等の実施を行っております。また、顧問弁護士による法律相談会を定期的に行い、新規事業等の計画や通常の営業活動等において違法性のないことの確認を行っております。
③ 財務リスク
資金調達及び金利変動について
当社グループは、当連結会計年度末において53,104百万円の借入金等有利子負債があります。今後、金融収縮等の全般的な市況の悪化や、信用格付けの格下げ等による信用力の低下、事業見通しの悪化等の要因により、当社グループが望む条件で適時に資金調達できない可能性があります。また、長期金利や短期金利が上昇した場合、借入コストの増加により、当社グループの事業、財政状態及び経営成績等に影響が及ぶ可能性があります。
当社グループといたしましては、常に多様な資金調達手段を検討しており、金融環境の変化に迅速に対応できる体制を整えております。
また、財務構成が改善基調にあること、地元関西エリアでの高い競争力、インフラ(物流体制の再整備)や店舗のスクラップアンドビルド等積極的な成長投資が計画されていること、利益蓄積に伴う自己資本の拡充も予想され、財務諸指標の改善が進むと見込まれることから、2020年11月、格付機関株式会社日本格付研究所による信用格付が、長期発行体格付が「BBB+」から「A-」に、国内CP格付が「J-2」から「J-1」にそれぞれ上昇しております。
入居保証金について
店舗の賃借に伴う入居保証金等につきましては、当連結会計年度末における残高は12,686百万円となっており、賃貸人の経営破綻等により入居保証金等の全部または一部が回収できなくなる可能性もあり、当社グループの財政状態及び経営成績等に影響が及ぶ可能性があります。
当社グループといたしましては、賃貸人と良好な関係を築くことにより、賃貸人の経営状況等の情報収集に努めております。また、賃貸借契約満了に伴う返還以外の方法として、賃料との一部相殺等、分割返還による早期回収にも努めております。
④ 経営リスク
経営成績の変動要因について
当社グループの取り扱う家電製品においては、冷蔵庫・エアコン・暖房機等はその時の季節感との相関関係が強く、特に夏・冬の天候如何によって当社グループの財政状態及び経営成績等に影響が及ぶ可能性があります。
また、家電製品の需要は社会情勢等の外部環境の変化により影響を受けやすく、当社グループの財政状態及び経営成績等に影響が及ぶ可能性があります。
当社グループといたしましては、販売時期が一定期間に集中する傾向にあるエアコン等の季節商品においては、早期ご購入による、お待ちいただくことのない据付工事の完了や、閑散期にご購入いただく際の特典等を訴求することにより、季節感に左右されない売上を創造することを目指し、さらに、創業月である5月には、当社グループにとって特別なセールである「大創業祭」を催すことにより業績の偏りを解消することを目指しております。また、MA(マーケティング・オートメーション)への積極的な投資や紙媒体販促(チラシ・DM)を縮小しデジタル販促を推進することにより、利益拡大及び経費削減を目指すべく、販促施策の充実を図っております。
人財について
当社グループの事業活動は人財に大きく依存しており、店舗運営をはじめとした各分野において優秀な人財を確保・育成することは成長に不可欠であります。しかしながら、少子高齢化の進行による人口構成の変化等により、採用計画が予定通りに進まない場合や、労働需給の逼迫等により従業員にかかる費用が増加する場合、「多様な人財が活躍できる働きがいのある労働環境の実現」を当社グループが取り組むべき7つのマテリアリティ(重要課題)のひとつとする、当社グループの経営理念「人と社会の未来を笑顔でつなぐ」及び経営ビジョン「家電とICTの力で生活インフラのHubになる」を実現することができず、当社グループの財政状態及び経営成績等に影響が及ぶ可能性があります。
当社グループといたしましては、定年延長に加え、新規採用だけではなく、即戦力としての中途採用や定年再雇用、その他退職者の再雇用、また働く側のニーズにも応えた短時間パートタイマーの採用等にも力を入れ、積極的に優秀な人財を活用して行く方針であります。また、従業員が高いモチベーションで最大限の能力を発揮できるよう、人事評価制度や研修制度の整備を行うこと等により、従業員の定着率の向上、個々の能力のレベルアップに努めております。
サステナビリティについて
現在、当家電販売業界を含む世間を取り巻く環境は大きく変化しつつあります。少子高齢化がもたらす人口・世帯数の減少や高齢単身世帯の増加といった人口動態の変化、ICTの高度化、性別・年齢・国籍などに囚われず、それぞれの「個」を尊重し、認め合うというダイバーシティ&インクルージョンの浸透、さらには気候変動など、人を取り巻く社会構造や環境、価値観が大きく変化する中で、人々の生活様式も大きく変わろうとしております。そのような背景から各企業は循環型経済社会の推進、人権の尊重、地域社会への貢献、ESG経営、SDGsへの取り組みといったような社会的責任の追及に根差したビジネスモデルを推進しております。しかしながら、このような社会の流れに対し当社グループの対応が不十分であった場合には、当社グループの経営理念「人と社会の未来を笑顔でつなぐ」及び経営ビジョン「家電とICTの力で生活インフラのHubになる」を実現することができず、当社グループの社会的信用の低下を招き、財政状態及び経営成績等に影響が及ぶ可能性があります。
さらに、気候変動による環境規制の強化やエネルギー価格高騰による設備費増や商品価格への影響により、当社グループの財政状態及び経営成績等に影響が及ぶ可能性があります。
当社グループといたしましては、長期的な視点で未来を考え、社会のあるべき姿を思い描き、社会変化の現状と課題を踏まえた上で、当社グループの理念体系の根幹である社是「愛」(「常に相手の立場に立って考え行動する」の意)の基本精神に則り、「持続可能で誰ひとり取り残さない社会」を私たちの未来世代に引き継いでいきたいという思いを込め、「人と社会の未来を笑顔でつなぐ」を経営理念としており、この経営理念のもと、中長期的な視点からのバックキャストで、当社グループが中長期的に創造する2つの社会価値「高齢社会のレジリエンス強化支援」と「家庭のカーボンニュートラルの実現」や経営ビジョン「家電とICTの力で生活インフラのHubになる」、7つのマテリアリティ(重要課題)等を特定しております。詳細は、「2 サステナビリティに関する考え方及び取組」をご参照ください。
店舗展開について
出店先の選定については店舗の採算性を重視しており、賃借料や入居保証金等の出店条件、周辺世帯数、交通アクセス等の立地調査に基づく投資回収期間や予想利益等の一定条件を満たすものを出店対象物件としております。この条件に合致する物件が見当たらない場合、出店計画を変更することがあり、これに伴って当社グループの財政状態及び経営成績等に影響が及ぶ可能性があります。
また、出店先の商業施設の売上高や集客力が変化した場合や、近隣地域への競合商業施設の出店等により顧客動向が変化した場合等にも、当社グループの財政状態及び経営成績等に影響が及ぶ可能性があります。
当社グループといたしましては、市場調査や幅広い店舗用地・空店舗などの募集により、出店候補地の検討数を増やしております。また、関西を中心にサービスインフラの整った東海・関東・北信越エリアの店舗ネットワークの活性化とドミナント化を指向し、既存店舗の積極的なリニューアル、スクラップアンドビルド、EC事業とのシームレス運営の推進、配送・工事・修理等のサービスインフラ拡充により、事業基盤の強化と収益力の向上を図り、安定的かつ着実な出店による収益拡大を推進いたします。業績、市場環境の変化や競合商業施設の出店動向の把握に努め、万一事業縮小や閉鎖を余儀なくされるような状況に陥った場合には、経営成績等への影響を最小限に抑えるため、速やかに意思決定を行い、減損損失や店舗閉鎖損失引当金の計上等を実施いたします。
なお、当連結会計年度末における店舗数は214店舗であり、店舗に係る固定資産の帳簿価額は65,458百万円であります。
物流関連の業務委託及び物流体制について
当社グループは、一部の物流業務について外部業者に委託しております。現在、業務委託先の協力の下最適な物流体制を構築しておりますが、物流コストの上昇や配送ドライバーの人手不足問題等により、特に当社グループで展開しておりますインターネットショップ「Joshin webショップ」へのお客様からのご注文量の増加に対応した配送網の構築が間に合わない場合、当社グループの財政状態及び経営成績等に影響が及ぶ可能性があります。また、今後、業務委託先の事業方針や戦略等の見直し、経営状況の変化や財務内容の悪化並びに取引条件の変更等があった場合にも、当社グループの財政状態及び経営成績等に影響が及ぶ可能性があります。
当社グループといたしましては、事業継続性を考慮した物流体制の再整備、リアル店舗とEC事業のシームレス営業を支える仕入・補給物流体制刷新、配送・工事・修理等のサービスインフラ拡充を目指し、新物流センターを稼働いたしました。大規模災害発生時の事業継続性に優れた内陸部に位置し、西日本を広くカバーできる最適なロケーションであり、2拠点で稼働しておりました物流センターを1拠点に集約し、EC事業拡大も見越した在庫効率の改善、またマテハン機能の充実による省力化で運営効率の向上を実現すべく、安定した物流体制の構築に向けた体制整備に取り組んでおります。
上記以外にも、犯罪被害、システム障害、電力不足による計画停電、その他風評被害等が発生する可能性は否定できず、そうした場合には当社グループの財政状態及び経営成績等に影響が及ぶ可能性があります。
配当政策
3 【配当政策】
当社は、収益の向上を図り経営基盤の強化に努めるとともに、株主の皆さまに対する利益還元を充実していくことが経営の重要課題であると認識しております。
当社の配当政策は、業績の状況及び配当と内部留保のバランスに配慮しながら、安定した配当を継続することを基本的な考え方としております。
当社は、毎年3月31日を基準日として、定時株主総会の決議をもって期末配当金として剰余金の配当を年1回行うことを基本方針としております。また、当社は、毎年9月30日を基準日として、取締役会の決議をもって中間配当金として剰余金の配当を行うことができる旨を定款で定めております。
当事業年度の剰余金の配当につきましては、上記の基本的な考え方に基づき、予定通り1株当たり90円を期末配当金としております。
内部留保資金の使途につきましては、新店舗の開設、既存店舗の改装等の設備資金及び情報化投資等に活用し、企業価値の向上に努めてまいります。
(注) 1.基準日が当事業年度に属する剰余金の配当は、以下の通りであります。
2.配当金の総額には、役員向け株式交付信託口に対する配当金22百万円が含まれております。