リスク
3 【事業等のリスク】
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。当社グループは、これらのリスクを認識した上で、事態の発生の回避に努め、発生した場合には事業への影響を最小限にとどめるべく対策を講じる所存です。
なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2024年6月26日)現在において入手可能な情報に基づき、当社グループが判断したものです。
(1)気候変動・自然災害等
大規模地震の発生のほか、気候変動により発生頻度が高まっている大型台風や集中豪雨等の自然災害が発生した場合、当社グループの事業運営に支障をきたし、営業休止やお客様の減少等により売上が減少するほか、施設等の復旧費用が発生するなど、当社グループの業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。当社グループでは、鉄道事業において「自然災害への対応力と危機管理体制の強化」を目指し、安全性向上に向けた取組みを行っております。気象情報システムによる監視体制の構築や耐震補強工事などの施設改良の推進、災害発生を想定した各種訓練の実施など、策定しているBCP(事業継続計画)の改善もはかりながら各種対策に取り組んでおります。
(2)事故等の発生
人為的要因を含む機器の誤作動などによるトラブルや事故、踏切などにおける第三者に起因する事故、テロ等不法行為による被害等により、当社グループにおける施設に損害が発生し、当社グループの業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。当社では、皆様から信頼され、愛される鉄道であるために、「『安全』は最大の使命であり、最高のサービスである」ことを常に意識し、「全社員が一丸となり継続的改善に取り組み、安全最優先の鉄道を創る」ことを最大の命題として、日々の業務に取り組んでおります。鉄道事故やトラブルが発生した際は、原因究明と再発防止策を速やかに実行するなど、継続的改善を進めております。
なお、2021年10月31日に京王線布田駅~国領駅間を走行中の車内で発生した傷害事件に対し、当連結会計年度においては、リアルタイム伝送機能を持つ防犯カメラの全車両、全駅への設置を完了するなどの取組みを進めました。
(3)品質管理
当社グループでは多数の資産を保有しているほか、物件の施工販売、食品の販売等を行っているため、当社グループ固有の品質問題のみならず、社会全般にわたる一般的な品質問題などが発生した場合、売上の減少や損害賠償費用の発生等により、当社グループの業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
(4)経営環境の変化
テレワークなど新たな生活様式の定着や長期的な人口減少・少子高齢化に加え、当社グループの競争力低下等により、当社グループが提供する商品・サービスの需要が減退する場合、当社グループの業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。当社グループでは、ステークホルダーに対して価値を提供し、長期的に「住んでもらえる、選んでもらえる沿線」であり続けるため、沿線力を向上させ、そこで生活する人の「幸せな暮らし」を実現することで、当社グループの価値を創造してまいります。
(5)デジタル社会への対応
当社グループは、多数のITシステムやクラウドサービス等の情報通信ネットワークを活用して事業を行っているほか、お客様の個人情報を含む機密情報を保持しております。また、取引先や委託先等のサプライチェーンも多岐に渡っております。そのため、重大なシステム障害や個人情報流出が発生した場合、システム復旧や損害賠償費用等が発生するほか、信用の低下等により、当社グループの業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。当社グループでは、情報セキュリティ分科会が中心となり、適切な情報管理を推進するとともに、個人情報については、京王グループ個人情報管理体制のもと、適切な管理に努めております。
また、当社グループは、今後の競争力強化のため事業のデジタルトランスフォーメーション(DX)にかかる投資を行っております。DXに対する資金、人財、その他リソースが不足した場合、また将来の技術革新や顧客志向・社会情勢の変化に適切に対応できない場合、当社グループの競争力が低下する可能性があります。
(6)人財の確保
当社グループは鉄道事業を中心に、沿線地域の方々への生活サービスに関連する幅広い事業を展開しています。鉄道・開発事業に限らず、グループの業種が多岐にわたるため、それぞれの分野で専門的知見と経験を積んだ人財の確保・育成が、事業の発展には不可欠であると考えております。このため、雇用の流動化等により、適切な人財の確保・育成の継続が困難な場合、当社グループの業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。当社グループでは、「京王グループ DE&I宣言」に基づき、多様な価値観・ライフスタイルを持つ従業員がその能力を存分に発揮できるよう働きやすく、働きがいのある職場環境づくりを継続することで、グループ全体としての多様かつ専門的な人財を確保してまいります。
(7)感染症の流行
新型コロナウイルス感染症の流行により、当社グループは、出控えや渡航制限に伴う運輸業における輸送人員の減少、流通業における来店客数の減少や休業・短縮営業による売上低迷、ホテル業における外国人宿泊客・国内宿泊客の減少のほか、感染対策に伴う事業運営体制への制約など、各事業で多大な影響を受けました。今後、新たな感染症の流行が発生した場合も、各事業で多大な影響を受ける可能性があります。当社グループでは、社会インフラを担う企業グループとして、当社を中心としたBCPに基づき、引き続き感染症の流行への対策に取り組んでまいります。
(8)コンプライアンス
当社グループは、鉄道事業をはじめとする各事業において関係法令を遵守しておりますが、これらに反する行為が発生した場合、信用の低下等により、当社グループの業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。当社グループでは、グループ全体のコンプライアンス体制を推進し、コンプライアンスに関する各種取組みの検証や改善策の検討等を行っています。
(9)大規模投資期における財務負担
当社グループでは、鉄道事業における安全対策をはじめ、事業の継続性を確保するための中長期的な視点に立った設備投資を実施しているほか、2030年代に新宿・橋本エリアでの再開発等の大規模投資の本格化を計画しております。このため、大規模投資期においては、当社グループの財務負担の増加が見込まれます。当社グループでは、金利の長期固定化により市場金利の変動リスクを低減しているほか、余剰資金の活用等により有利子負債を適正水準に管理して財務健全性を維持し、大規模投資期のキャッシュアウトに耐えうる財務基盤づくりを進めてまいります。
(10)経済環境
当社グループは、鉄道事業を中心に、当社沿線を主たるマーケットとして事業を展開しており、国内の経済情勢の影響を受けております。消費の低迷、所有資産の価値低下、資材・原材料費の上昇や供給不足等が、当社グループの業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。現在、エネルギー価格や労務費、資材・原材料等の価格上昇の長期化に伴う、建設コストの大幅な上昇などの影響を受けておりますが、引き続き効率化や費用の削減に向けて、あらゆる施策に取り組んでまいります。
(11)法的規制
鉄道事業をはじめとする当社グループが展開する各事業については、様々な法令・規則等による規制を受けており、これらの規制に重大な変更があった場合、当社グループの事業活動が制限されるほか、法令・規則・開示制度等を遵守するための費用が発生するなど、当社グループの業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
なお、上記は当社グループの事業その他に関し、予想される主なリスクを具体的に示したものであり、ここに記載されたものが当社グループのすべてのリスクではありません。
配当政策
3 【配当政策】
当社は、将来の事業展開と経営環境の変化に備えた経営基盤の強化に必要な内部留保を充実させながら、業績等を勘案し、株主の皆様への利益還元をはかっていくことを基本方針としております。
当期は、業績が新型コロナウイルス感染症の流行以前の利益水準を超えるところまで回復したことを踏まえ、年間配当金は、1株当たり52円50銭(中間配当金22円50銭、期末配当金30円)といたしました。
また、当社の剰余金の配当は、中間配当と期末配当の年2回行うことを基本方針としており、決定機関は中間配当については取締役会、期末配当については株主総会であります。
なお、当社は、毎年9月30日を基準日として中間配当をすることができる旨を定款に定めております。
内部留保資金については、鉄道事業の災害発生時の迅速な復旧なども視野に入れた安全対策の充実や、京王線(笹塚駅~仙川駅間)連続立体交差事業のほか、拠点開発などの沿線価値の向上に資する取り組みなど、企業価値のさらなる向上に向けて活用してまいります。
(注)1.基準日が当事業年度に属する剰余金の配当は、以下のとおりであります。
(注)2.2023年11月6日取締役会決議による配当金の総額には、役員報酬信託口が保有する当社株式に対する配当
0百万円が含まれております。
2024年6月26日定時株主総会決議による配当金の総額には、役員報酬信託口が保有する当社株式に対する
配当3百万円が含まれております。